
「脱毛は身体に悪い」「ホルモンバランスが崩れる」「汗が増える」といった噂があります。これらの話は本当なのでしょうか。
今回は、脱毛が身体に及ぼす影響についてお話します。また、脱毛をする上で注意してほしいことや控えてほしいことなどもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
脱毛は身体に悪い影響を及ぼす?
脱毛をすると皮膚がんなどのリスクが高まる、妊娠中に脱毛すると胎児に影響が出るといった噂を耳にしたことはありませんか?
結論から言うと、脱毛は身体や胎児に悪い影響を及ぼすものではありません。
まず、脱毛の光やレーザーは毛の組織を弱らせたり破壊したりする以外の働きはなく、皮膚内や血管、神経、内臓には一切影響を与えません。皮膚がんの原因は紫外線ですが、脱毛の光やレーザーは赤外線です。つまり、脱毛によって皮膚がんになるというのは可能性の低い話だとわかります。
また、妊娠中に脱毛を休むように言われるのは、胎児ではなく母体の体調などが理由です。
光やレーザーは毛根付近までしか届かないため、もちろん子宮に影響を与える力はありません。脱毛の施術をする際に妊婦にとってつらい体勢を要求しなければならなかったり、つわりで気持ち悪いのを我慢しながら施術しなければならなかったりすることを避けるため、妊娠中の脱毛は推奨されていません。
なお、肌トラブルは身体への悪影響とは別の話です。正しい処理がされなかったりすることにより肌を痛めてしまう可能性は、残念ながらゼロではありません。
脱毛により起こる可能性がある肌トラブル
脱毛により起こる可能性がある肌トラブルは、大きく分けて4つあります。
やけど
脱毛器の光やレーザーの出力が強すぎた場合、事前処理が不十分だった際にやけどをしてしまう可能性があります。また、乾燥時、生理前や体調が優れない時の脱毛もやけどをしやすいため避けるべきでしょう。
脱毛のやけどは、赤みを帯びて火照りが続くのが特徴です。水ぶくれなどは起きにくいため、やけどに気づかない方も少なくありません。
毛嚢炎
毛嚢炎(もうのうえん)は、お肌にニキビのようなブツブツができる炎症です。
通常、お肌や毛穴はバリア機能によって雑菌の侵入などを防ぎ、健康な状態を保とうとしています。しかし、照射されたお肌はバリア機能が一時的に低下します。この時に毛穴に雑菌が侵入してしまうと炎症を起こし、毛嚢炎となるのです。
毛嚢炎は1~2週間程度で自然に治ります。ただ、稀に膿が溜まったり炎症を起こしたりすると痛みや発熱を起こすこともあり、医師の診察が必要になります。
増毛化
脱毛の光やレーザーにより毛の本数が増えてしまう現象を増毛化と呼びます。新たに毛穴ができたから毛が増えたというわけではありません。毛が生えていなかった毛根が光やレーザーによって活性化したためだと考えられています。
産毛の多い背中や二の腕などで発症するケースが多い傾向にありますが、続けて照射をすれば脱毛できるため、大きな問題はありません。
硬毛化
脱毛の光やレーザーにより毛が固くなる現象を硬毛化(こうもうか)と呼びます。硬毛化は、背中や二の腕など産毛の多い部位でみられる現象です。
原因は、増毛化と同じように光やレーザーによって毛根組織が活発化してしまったためだと考えられています。増毛化と同様に、硬毛化の現象が起きても引き続き照射をすれば脱毛できるためそれほど気にする必要はないでしょう。
脱毛による肌トラブルを防ぐための方法
脱毛による肌トラブルを防ぐには、脱毛直後と脱毛中の行動に気を付けることが大切です。どのようなところに気を付ければよいのか確認しましょう。
脱毛直後にやってはいけないこと
以下では脱毛直後にやってはいけないことをご紹介します。
入浴
脱毛直後の入浴は、血行が良くなり体温が上がることで炎症や赤み、かゆみなどを引き起こす可能性があるため避けてください。また、湯船には目に見えない雑菌がたくさん繁殖しています。毛嚢炎など毛穴のトラブルを起こす可能性もあるためシャワーのみにしましょう。身体は石鹸やボディソープを泡立て、手で優しく洗ってください。
飲酒
飲酒をすると入浴時と同じように血行が良くなり体温が上がるため、炎症や赤み、かゆみなどを引き起こします。脱毛後のお肌はすでに軽い炎症を起こしている状態です。悪化させないためにも、脱毛後は飲酒は控えましょう。
激しい運動
激しい運動も同様に血行が良くなり体温が上がるため、炎症や赤み、かゆみが起きる原因となります。
また、運動して発汗すると雑菌が毛穴に侵入してしまう恐れがあります。毛嚢炎や炎症などを引き起こす原因になるため、汗をかく行動はNGです。
強い刺激や摩擦を与える
脱毛直後のお肌はデリケートな状態のため、強い刺激や摩擦を与えることで炎症を起こしてしまう可能性があります。ゴシゴシと身体を洗う・エステのマッサージ・締め付けの強い洋服や下着の着用などは強い刺激になるため注意が必要です。
脱毛中に気を付けること
次に脱毛中・脱毛期間中に気を付けることをご紹介します。
保湿
脱毛中は乾燥しないようにしっかりと保湿をしましょう。お肌が乾燥していると、脱毛の刺激に耐えられず炎症ややけどを起こしてしまいます。
また、光やレーザーが毛根まで届きにくくなる原因にもなり、脱毛効果が半減します。
特に脱毛後は、熱により水分が奪われ乾燥しやすくなっています。また入浴後も乾燥しやすいため注意してください。ボディーローションや化粧水、クリームなどを使用して普段から保湿を心がけましょう。
日焼け
脱毛中の日焼けは絶対にNGです。そもそも日焼けをしたお肌はやけどをしている状態と同じです。そのようなお肌に照射すると、炎症や赤み、肌荒れ、痛みなどを引き起こしてしまいます。
日焼けが落ち着いても、お肌が普段よりも黒いことで光やレーザーが強く反応するため、照射出力を下げてお手入れしなければならなくなり、脱毛効果が半減してします。
日焼けは、脱毛をするにあたっては何も良いことがありません。日頃から日焼け止めクリームを塗り、日傘やUV加工が施されている洋服などを利用して紫外線対策をしてください。
光脱毛よりレーザー脱毛の方がリスクが高いって本当?
光脱毛は医師でなくても施術できますが、レーザー脱毛は医師免許を持っている方しか施術できません。その点では、レーザー脱毛は光脱毛よりもフォロー環境が整っていると言えます。
しかし、光脱毛とレーザー脱毛は照射の方式や範囲などが異なるだけで、毛の黒い色素に作用するというメカニズムは一緒です。そのため、肌トラブルなどのリスクに大きな違いはありません。また、光脱毛の方が痛みが弱くお肌への負担も少ないと思われがちですが、乾燥していたり日焼けをしていたりすると、光脱毛でも痛みやトラブルのリスクは高まります。
どちらの脱毛方法にするかは、リスクではなく効果や期間などを踏まえて検討するとよいでしょう。
脱毛が及ぼす影響、よくある噂のウソホント
脱毛が及ぼす影響としてよく噂されている2点について、その真実をお伝えします。
ホルモンバランスが崩れる?
脱毛が直接的な原因でホルモンバランスが崩れることはほとんどありません。
ただし、ムダ毛の量とホルモンバランスは密接に関係しています。普段はバランスよく存在している女性ホルモンと男性ホルモンですが、そのバランスはストレスや睡眠不足などで崩れがちです。男性ホルモンの分泌量が女性ホルモンよりも増えてしまうとムダ毛が濃くなる可能性があります。
汗が多くなる?
脇脱毛後に汗が増えたと感じる方がいらっしゃいますが、これは今まで汗を受け止めていた脇毛がなくなったことが原因です。脱毛によってお肌の上を汗がそのまま流れていくため、脱毛前よりも汗が増えたように感じるのです。
夏場など汗が気になる時は、汗脇パッドや制汗スプレーなどを上手に使って対策しましょう。また、ハンカチやタオルでこまめに拭き取るとニオイを予防できます。
肌トラブル対策をすればOK!脱毛前に正しい知識を身に着けよう
ここでは、脱毛に関するさまざまな噂について、その真相をご紹介してきました。
あらためて、光脱毛もレーザー脱毛も、身体への悪い影響はほぼないと言ってよいでしょう。
ただし、肌トラブルには注意しなければいけません。脱毛後は入浴や運動など体温が上がる行動は控え、刺激や摩擦を避けるように気を付けましょう。脱毛中は保湿と日焼け対策を忘れずに行うだけでも肌トラブルの対策になります。正しい知識を身に着けて、安心して脱毛をしましょう。